せとまちコラムSetomachi Column
理想的な検診について考察 Part1
各種検査からだに優しいがん治療2026.10.26

理想的な検診について考えてみました。
40代、50代、60代の働き盛りの年代では、まず第一に「がん」などの命に関わる病気を防ぐ必要がありますが、「脳卒中」などの命には関わることは少ないものの働けなくなるような後遺症が残る病気も同時に防ぐ必要があると思います。後遺症が残る病態も加味すると「がん」と同じくらい「脳・心血管障害」のリスクを予測することは検診において重要と考えます。
40代から60代までのいずれの年代においても最も多い死因は「がん」になります。
男性では「肺がん」、「大腸がん」、「胃がん」による死亡が多いです。
その一方、女性では男性と同様に「大腸がん」、「肺がん」が高いですが、「乳がん」が多いのが特徴です。さらに罹患率でいえば圧倒的に「乳がん」が多いと言えます。
「肺がん」検診
胸部レントゲンは最も一般的ではありますが、1cm以下の腫瘍やすりガラス状の腫瘍では判定が難しい問題があり、定期的にすると放射線リスクもないわけではないです。低線量胸部CT検査では見落としは少ない一方で、放射線被曝のリスクが上がる問題点があります。さらに、陰影があった場合にもそれが「がん」である可能性はごく一部であり、過去の炎症痕であることが多いです。その場合、定期的なCT検査でフォローアップとなり、結局「肺がん」や「乳がん」のリスクとなる放射線被曝を定期的に受けてしまうというジレンマになるため、個人的には「肺がん」に対する検診で評価する意義は低いと考えます。
「大腸がん」検診
簡易的にできる便潜血検査は検査に伴うリスクがないためスクリーニング検査としては優れていますが、陽性の多くは痔によるもので、実際に「大腸がん」であることは数%と陽性の中のほんの一部になります。陽性と判定された際には大腸カメラを行うことで「大腸がん」の多くを早期発見することが可能です。但し、大腸カメラは検査する側の腕(技術)も重要なファクターとなります。後述する尿中腫瘍マーカーでの評価をしてから大腸カメラを検討しても良いのではないかと考えています。
「胃がん」検診
一般的には胃カメラとバリウム検査が有名です。バリウム検査は比較的多い放射線被曝と見落としも少なくないため検診としての価値は低いと思います。どちらかを選択するのであれば胃カメラが圧倒的に良いです。胃カメラでも負担に感じる場合は、血液でわかるABC健診がお勧めです。この検査でピロリ菌陰性で胃粘膜の萎縮もないと判断された場合、胃がんリスクは殆どないため胃カメラを受けるかどうかの判断材料になるかと思います。当院で実施している分子栄養学的血液検査の中にも含まれているため、それによりリスクがあると判断される場合には胃カメラを案内することがあります。
「乳がん」検診
マンモグラフィーと乳房超音波(エコー)が一般的ですが、見落としが少なく、放射線被曝もないエコーが基本と考えます。但し、大腸カメラと同様に検査する側の腕(技術)が重要なファクターとなります。胸が大きい方ではエコーが深い部分に届きづらいためマンモグラフィー併用も検討するとよいのではないでしょうか。「乳がん」の場合はしこりを自覚できるため、比較的早期発見されることが多いです。確定診断するにはそれに加えてエコー検査、場合によっては針生検での評価が一般的です。「針生検をしたくない」という相談を受けることがありますが、その場合にはまずは尿中腫瘍マーカーで評価をするようにしています。
尿中腫瘍マーカー
当院では尿で総合的な腫瘍マーカーを測定できる尿中ジアセルスペルミン検査を行っております。こちらの検査は尿検査をして30分程度で結果が出るため、様々な検診を行うには時間がない方でも総合的ながんリスクを簡易的に、かつ比較的安価(11,000円)に行うことが可能です。当院には多種多様な未治療のがん患者さんが受診されます。その際にこちらの検査で高値を示した方には専門病院での精査をお勧めしますが、多くの場合、進行がんが見つかります。その一方で、stage0,1などの早期がんでも6割以上の検出率があり、スクリーニング検査として非常に優れています。検査値が異常ではあるもそれほど高くない場合(早期がんリスク)は生活習慣の改善により正常化することも多く、「がん」と確定診断される前に生活習慣を見直す良いきっかけになる方も多いです。上述した個別のがん検診を受けるかどうかのスクリーニング検査としてもお勧めです。詳細は以前のコラムをご参照ください。
https://setonomachi-clinic.jp/column/早期がん検診 「尿中ジアセチルスペルミン」/
次回は専門である「脳・心血管障害」のリスクを予測する検診について私見を述べたいと思います。
記事監修
米澤 公器
瀬戸のまち統合治療院
よねざわ生活習慣病・脳クリニック院長
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